休むことは何も生まない

2012-02-05

これからずっと(今に至ってもなお)周囲とのずれとして残る。周囲の人々、その人が癌というものをよく理解し、かつ、私の状態をわかっていると思われる人であっても、体を休めて養生せよ、と言う。休めばよくなるのか。休んで癌が治るならそうする。しかし癌は治らない。それどころか、休んでいる間にも癌は進行するのである。休んで回復する状態ではないのだ。それなのに周囲は休め休め、と言う………。休んでなんかいられない。限られた時間にやるべきことや、やりたいことがたくさんある。やらなければならない。休むことはもう何も生まないのである。ゆっくり養生してくれと言ったのは私であろう。近年の傾向としては彼の受けた手術であれば早い人は術後二週間では退院する。その後さらに三〜四週間くらいは養生して仕事に復帰する人が多いようである。我々が医師になった三〇年くらい前であると術後一月くらいは入院しているのが普通であった。今回、彼は術後十八日目で退院しているから決して標準より早くはないが、やはり食事の取り方がある程度つかめるまでは時間がかかるので、仕事復帰はそれからでもいいと言うつもりだった。しかし、今にして思えば彼はこの時点で病理の結果を知らされているのだから、当然こういう気持ちであっただろう。そのときはそこまでは気づかずにいたことを申し訳なく思う。むしろ、自宅に近いS市の病院でなくこちらで手術したんだから、子どもさんたちと少しゆっくりしたら、という気持ちだった。たまたま、そのときは頼りになる呼吸器内科医師が他に二名いて現場は大丈夫だからそういう意味では心配ないと言うことも、ゆっくり養生するようにと勧める理由でもあった。先生が大丈夫なら明日からでも仕事に復帰してもいいよ、現場は待っているから、と言った方が良かったのか、今でも難しい判断だと思っている。