秋が深まりつつある。暖流育ちの魚たちが次々と日本海を南下する。その最後を飾るようにしてブリの大群が、日本海の沿岸をかすめる。この時期のブリを寒ブリと云う。南下途中に、岸近くに什掛けた定置網には数平尾のブリが躍り込み、丹後や若狭の浜浦が賑わう。この賑わいが年の瀬まで続くと、漁師たちは大漁気分で爽快な正月を迎えるが、年によってはブリの顔をみないまま年を越す。丹後の正月には寒ブリが欠かせないので、漁師ばかりでなく一般家庭でも寒ブリの来ない正月は淋しい。寒ブリが網に入るころになると、海水浴のころの賑わいとは、漁村の雰囲気がずいぶんと違う。ブリの大漁の日と前後して、底引き船がカニを水揚げするころになると、いっきに浜と魚市場は活気づき晩秋の盛漁期を迎える。