あなたが交通事故で死ぬ確率は10年間で一万分の一だそうです。しかも、あなたの人生を七十五年とすると、その間の交通事故死の確率は、なんと、一三三分の一にまで上昇してしまうのです。一三三分の一という数字には、ちょっとゾッとさせられませんか。一三三人のうちの一人は、交通事故でなくなってしまう。こうなると、もう余所事ではありません。宝くじの二五〇万分の一は想像の埓外ですが、一三三分の一は充分に現実的です。いいですか。
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交通事故死とは、これほどまでに身近に存在するものなのです。ところが、人を殺す可能性があるくせに、国家試験のなかでも、もっとも修練に要する時間が短くてすみ、しかも簡単に取れるのが自動車運転免許なのです。たとえば調理師の国家試験を受けるには、調理師養成施設を卒業するか、二年以上の実務経験が必要です。さらに専門調理師、調理技能士の受験資格を得るには調理師免許に合格していることは当然として、なんと十年近くの実技が必要なのです。ところが、くどくなりますが、人を殺す可能性のある自動車運転免許は、教習所に通って、そこで横柄な教官と喧嘩をしないかぎりは、まあ短期間で取得できます。数ヶ月といったところですか。そして、それを手にしたあなたは、じつは、人を殺すかもしれない道具を操縦することを自ら選択したのです。近代国家が人命よりも流通を優先するあまり、運転免許を乱発するという現実もたしかに存在しますが、べつに自動車を運転することやオートバイに乗ることは、強制ではありません。やはり、誰がなんと言おうと、あなたが、選んだのです。徹頭徹尾、あなた自身が選んだ。あなたの選択なのです。これが自由ということです。