ファッションと結びついて大きな影響力を持つ

2010-12-21

一九五〇年代には一般家庭にテレビがあまりなかったので、大きな娯楽は何といっても映画だった。終戦後の一時期、アメリカからたくさん映画が入ってきたこともあり、それに刺激されてか、映画ブームの時代であった。クリア・ガースン、イングリット・バーグマン、マリリン・モンロー、少し遅れてオードリー・ヘプバーンなど、本当に一世を風扉する個性的な女優たちが、ファッションと結びついて大きな影響力を持っていた。日本でも、その頃は映画スターという存在が流行のリーダーだった。月丘夢路が着ていたからとか、高峰三枝子や北原三枝がどうだとか、スクリーンのスターたちを憧れの眼でみつめたものだ。そんなある日、新宿の私の店の狭い階段を、日活映画の衣裳部さんと呼ばれていた色の黒いプロデューサーが上ってこられた。それが本格的に映画のコスチュームをデザインする仕事の始まりであった。