花嫁について

2011-08-04

花嫁は、地域社会の人々に披露される必要があった。披露のやり方にはさまざまなものがある。ふつう村廻りといって、祝言の日の翌朝、嫁は新郎の母にともなわれて、手土産を持って近隣の家々へ挨拶に行った。長野県飯田市では、村廻りに嫁が訪れると、各家からは足袋などを贈った。そしてこれをハナムケと称した。ハナムケは、本来は旅立ちのときにのる馬のはなの向く方向へということから餞別のことであるが、この場合は嫁一人をさして出される引き出物という意味である。山梨県下の上九一色村では、村廻りにきた花嫁に、以前は番茶を一つまみ、盆にのせてさしだしたという。お茶は主として女性に対するもので、男子の酒に対応するものである。以前の披露の方式で嫁見というのがあった。婚礼の当日には祝言の座敷の障子をはずして、誰でもが見物できる状況をつくり、そこで勝手な批評をわざと聞こえるような声でするのを、あたり前のこととしている地方もあった。障子ははずさないまでも、舌で指をぬらして中をのぞくので、障子が穴だらけになったという所もあった。嫁は要するに世間に見せなければならぬものだという原則なのであった。